らむねむら

日々の暮らしの中で気づいたことや感じたことを、自由に、気ままに綴っていきます。

Schlado(シュラドー)

外出自粛要請が出た頃から、人通りの多そうな駅周辺には行かないようにしていましたが、通帳記入をしたかったので、早朝のお散歩ついでに、ATMが利用可能になる時間に合わせて久しぶりに駅周辺を歩いてみました。

「政府の休業要請を受けて○○日までお休みします」というお店や「テイクアウト始めました」というお店のほかに、営業時間を短縮しているお店もたくさんありました。特に小さな個人営業のお店は、経済的に厳しい状況を強いられているだろうなと胸が痛みました。

 

わずか数ヶ月前とは様変わりした街並みを見ながら、約30年前のドイツでの生活を思い出しました。ドイツでは当時、キオスクと呼ばれる小さなタバコ屋さんのようなお店や飲食店を除き、ほぼ全てのお店が平日は18時半、土曜日は14時までしか営業していませんでした。日曜・祝日は原則お休み。閉店法(Ladenschlussgesetz)という法律で規制されていたためです。

そのため、土曜日は基本的に買い物の日で、近くの市場に出掛けたり、お店をいくつか回って食材をまとめて買うようにしていました。平日もほとんど残業はなかったので、必要なときには買い物できましたが、ドイツでは労働者の力が強く、閉店時間を1分でも過ぎると売ってくれませんでした。それどころか、閉店時間の20分ほど前から店じまいを始めるので、ギリギリの時間にレジに行くと、ものすごく嫌な顔をされたり、ひどい時は閉店時間だと言って受け付けてくれないこともありました。

さすがに不便だということで、法律が改正され、木曜日だけは20時まで営業して良いということになりました。木曜日の営業時間延長が始まったのは1989年10月5日のようです。お店を利用する側にとっては便利になりましたが、お店で働く人にとっては、木曜日は労働時間が長くなったわけです。そこで耳にしたのが「Schlado(シュラドー)」でした。これは「Scheiß langer Donnerstag」(直訳すると、「くそったれの長い木曜日」)を短くしたもの。

その後、更に規制が緩和され、1996年には月曜日から金曜日まで、2003年には土曜日も20時までの営業が可能になり、現在では多くの州で日曜・祝日以外の営業時間について規制はなくなっているようです。

日本はコンビニで24時間買い物ができたり、スーパーが夜遅くまで開いていて確かに便利ですが、人手不足が深刻になる中、新型コロナ感染拡大防止のための休業や営業時間短縮は、これまでの生活を改めて考え直す良い機会なのかもしれません。勿論、医療従事者の方々をはじめ、物流やライフラインなど、生活に欠かせないお仕事に携わっている方々は買い物に行けずに困っているかもしれません。そうした皆さんをサポートする仕組みも含めて、みんながハッピーで環境にも優しい社会になればいいなと思います。

 

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散歩中に見かけた猫