らむねむら

日々の暮らしの中で気づいたことや感じたことを、自由に、気ままに綴っていきます。

外出できる自由

新聞のお悔やみのコーナーに、藤田三四郎さんという方の追悼記事が掲載されていました。群馬県草津市国立ハンセン病療養所「栗生楽泉園」の入園者自治会長を長年務められた方とのことでした。私はそのお名前も経歴も知りませんでした。

ハンセン病の隔離政策のことは多少は知っていたつもりでした。しかし、外出自粛要請が続く今、この記事を目にして、ハンセン病で隔離されていた方々のことを改めて考えるきっかけとなりました。

ハンセン病患者の方々は、国の政策によって強制的に隔離され、名前を変えさせられたり、子供を持つことを禁じられたり、人間の尊厳を奪われるような経験を数多く強いられてきました。隔離生活は生涯に及び、家族にも二度と会うことができないばかりか、ハンセン病患者の家族と知られないよう絶縁される人も多かったようです。社会からの差別や偏見だけでなく、家族や親戚からも疎ましく思われるといった辛い経験を考えると、その悲しみや悔しさはどれほどだったかと心が痛みます。

ハンセン病患者の隔離政策がとられていた当時と同様、新型コロナウイルスもまだ特効薬は開発されておらず、誰もが感染するリスクがあるために、現時点では感染者を隔離し、外出を自粛することによって接触のリスクを避けることが唯一の感染防止策とされています。そのために、ステイホームが続いているわけですが、こうした外出自粛は恐らく一生続くものではないでしょうし、必要最低限の外出は禁止されていません。インターネットが普及しているおかげで、家族や友人とオンラインでつながることもできます。それでも、数ヶ月前までは自由にできていたことができなくなり、ストレスを感じることもあります。

隔離政策当時のハンセン病患者の方々だけでなく、様々な理由で自由に外出できない方は今も数多くいるでしょう。今後、緊急事態宣言が解除され、以前とは違った形ではあれ自由に外出できるようになった時にも、その自由が当たり前ではないことを忘れないようにしようと思いました。